2015年4月18日土曜日

住宅ローンが払えなくなる理由その4

住宅ローンが払えなくなる理由リスクについて、前三回の記事を書きました。

今回は、四回目となります。

多くの頭金を入れて住まいを購入する場合と、頭金を入れずに購入する場合において大きく違うのは、ローンの負担です。

頭金を多く入れた人とそうでない人が、同じ返済年数で借入れをした場合、当然頭金を入れない方が、毎月の返済額は上昇し、結果返済総額が増えます。
また、両者が毎月の返済額を同じにした場合、当然頭金を入れない方が、長期の返済期間になり、結果返済総額が増えます。

そこでお聞きします。
あなたのお仕事は、この先何十年もの間、給料が下がったり、リストラなどの可能性が絶対にない会社でしょうか?


おそらく殆どの方は、将来の雇用に関して何らかのリスク。つまり、将来給料が下がる可能性を抱えているはずです。
毎月の返済額が、この先ずっと安定的に払える保証などどこにもないのです。

しかし、住宅ローンを借りる多くの方は、今の給料が来月も再来月もずっともらえるものだと思っていることが多いのです。


あるデーターによりますと、サラリーマンの給料は50歳前後がピークだそうです。
一方、内閣府のデーター(2011年調べ)によると、平均初婚年齢は男性30.7歳、女性29.0歳だそうです。

平均初婚年齢で結婚し、翌年お子様が生まれたとすると、50歳はちょうど大学受験です。
ようやく子供を卒業させ、学費の負担が無くなってきた頃、給料の減少が始まるかも知れないのです。
この世代は、もう目前に老後の生活を考えなければいけなくなっていますので、事態は深刻です。


結婚して夫婦で賃貸の家賃を払うくらいなら、、、という軽い気持ちで家賃と同じ水準のお住まいを購入してしまうと
後悔することになるかも知れません。

更に、このケースでは32歳でお住まいを購入することになりますから、35年のローンを組むと、完済する年は67歳。
果たして、今の会社で今と同じお給料をもらえるでしょうか?

実務上の話で恐縮ですが、お住まいを購入する年齢層はもっと上で、40歳近くの方が多いように思います。
40歳で35年の融資では75歳です。

あなたの周りを見回してください。
75歳で現役の方どのくらいいるでしょうか?

住宅ローンが払えなくなる理由その3

住宅ローンが払えなくなる理由も第三弾のお話となりました。
今回は「意外とかかる住宅ローン以外のお金」というテーマでお話をしましょう。

家賃と同じ支払いで購入できるから・・・・・・という理由で不動産を購入してしまうと、思わぬ落とし穴に落ちてしまうかもしれません。

住宅ローン以外にもいろいろお金がかかるのです。

まず代表的なものが、固定資産税です。
一年間に十数万円かかることも珍しくないのです。

新築の不動産は一定期間減税措置がありますが、減税措置期間が経過してしまった事が原因でローンが払えなくなることもあります。

話は少しずれますが、同じような破綻例としては、住宅ローン減税措置が切れるタイミングも一気に負担増となるので、注意が必要です。

住宅ローン以外のお金に話を戻しましょう。
固定資産税の他にもお金がかかります。
「修繕費」です。

例えば、ウォシュレットは早ければ五年程度で壊れます。
同じ製品の生産がされていない場合、最悪トイレを丸ごと交換する羽目になり、十数万円の出費を覚悟する必要があります。

まだあります。
給湯器の寿命は十年から十五年程度です。

ウォシュレットは壊れても、用がたせればよいですが、給湯器はそうはいきません。
交換すれば二十万から三十万円必要になります。

一戸建ての場合、十年に一回程度で外壁の塗り直しもあり、百万円近くかかることも珍しくありません。賃貸であれば、これらの修繕費は大家負担ですが、マイホームは全て自己負担になります。

住宅を購入する。という事は、「自分で修繕計画を立てなければいけない。」という事なのです。
住宅ローンの返済金の他に、修繕費を積み立てすることができるのか?

お住まいをお買いになる前に検討していただくことをおすすめします。


現在お住まいをお持ちになっていて、住宅ローンのお支払いで困っているのなら
収入の回復が見込めない場合の解決方法
という記事がお役に立つと思います。

2015年2月8日日曜日

住宅ローンが払えなくなる理由その2

今回は住宅ローンが払えなくなる理由その2です。

自己資金を入れずに購入する、もう一つのデメリットについ、お話を進めていきます。

まず、「購入した金額は永遠ではない」ということが重要です。
購入した車が年々査定が落ちてゆくように、購入した不動産も年々査定が落ちてゆきます。

正確に言うと、「購入した建物」の査定が年々落ちてゆくのです。
では実際にどのくらい価格が落ちるのか具体的に説明しましょう。


税法とは若干違いますが、木造の二階建ての建物は20~25年程度で建物査定がゼロ円になります。
新築時の建物評価が2000万である建物。20年で査定ゼロとすると、一年で下落する評価はいくらになりますか?
そう、年間100万円減価しますよね。

例えば、土地が1000万円、建物2000万円、借入れが3000万円、金利が2%で35年のローンを組んだとしましょう。
年間の返済額は約120万円です。

一見、建物の年間減価100万円以上に返済しているように見えますが、年間の返済額は元金部分と利息部分があります。
詳しい計算は省きますが、このケースで1年目の元金返済額合計は約60万円、利息支払い額合計も約60万円となります。

つまり、建物の価値は100万円落ちているのに、住宅ローンの残は60万円しか減らないということになります。
そのため、1年目で売却した場合、40万円の手持ち金を入れないと売却することができない。ということになります。

二年目には80万円、三年目には120万円、、、204回目の時点では500万円超の売却赤字となります。

もちろん、この計算は土地の値段が変わらない。という前提で行っておりますので、土地の価格が上昇しそうな、とても人気のあるエリアでしたら、建物減価分を土地の相場上昇でまかなえるかもしれません。

あなたが購入したい土地は、いかがでしょうか?

今回は分かりやすく、建物減価が一定金額で減少する前提で説明をしましたが、実際は新築物件と築1年の中古物件では上記以上の差が出ます。

また、中古住宅を購入した場合も、上記計算と基本同じです。

永住するつもりで住宅を購入しても、転勤や離婚、親の介護、生活環境の変化などの要因により、売却することになるかも知れません。

「手放そう」と思ったときに残債金額以下でしか売却できないと、売ることすらできずに困ってしまいますよね。
自己資金を入れて不動産を購入するということは、こういった「将来売却しなければいけない時のリスク」の回避にもなります。
逆に自己資金を入れずに購入するという事は、リスクを抱えての住宅購入になる。ということを忘れないでいただきたいと思います。

次回は、「意外とかかる住宅ローン以外のお金」というテーマでお話をしますね。

住宅ローンが払えない時の解決法という記事もお役に立つと思いますので、是非お読み下さい。

住宅ローンが払えなくなる理由その1

こんにちは、任意売却の専門家杉山善昭です。

私に寄せられるご相談は「家を売りたい!」というものが多いです。

しかも、私のところにご相談に来られる家を売りたい方は、
「本当は売りたくない人」がほとんど。
売りたくないけれど、売らざるを得ない。という方なのです。

さて、手放さざるを得ない方とは一体どのような状況なのか?
感の良い方はもうお気づきかもしれませんね。

そう、「住宅ローンが払えなくなってしまった方」です。

住宅ローン破綻というテーマで、これから何回かに分けて書いていきたいと思います。

実は、住宅ローンが払えなくなってしまう方には、ある共通の特徴があったのです。

今回は一回目ですから、最も多い事例を書きましょう。

住宅ローン破綻事例の中で最も多い原因は、
「自己資金を入れずに購入した」です。

ただし、注意しなければいけない点があります。
自己資金を入れずに購入したとしても、そこには二つの経緯があります。

まずは、「自己資金があるけれど使わなかった」です。

蓄えはあるけれど使わなかった方は、
何かの理由でその資産を温存しておきたかったわけです。
例えば、定期預金の満期が来るのを待っていたり、
途中解約すると利回りが悪くなる金融商品を持っているケース。
こういったケースの場合、蓄えを使う方が有利なのか、蓄えを使わない方が有利なのか?を検証して判断しています。

戦略的な自己資金不支出です。

こういった方はそもそも、資産形成をする経済的サイクルが確立されていますから、
毎月の収入-支出が常にプラスになっているわけです。

この場合、自己資金を使わずにマイホームを購入しても、危険は少ないです。

問題は二つ目。

「自己資金がなくて払えない」です。

確かに昨今、
銀行の住宅ローンは、100%融資や諸経費までまとめて融資する銀行があります。

しかしそれは、銀行がつくった金融商品にすぎません。
「融資を受けることができること」と、「返済ができること」はイコールではありません。

少々話がずれましたね。

自己資金がなくて払えない。原因はどこにあるでしょうか?

根本的な原因は
収入-支出=ゼロ
ということです。

過去、数十年の生活を続けていて資産がゼロということは、
今まで得た収入を丸ごと全部使ってしまった。ということになります。

このような方が、「家賃と同じ支払いなら…」という理由で購入してしまうと、
非常に危険です。

なぜなら、
マイホームを購入すると、住宅ローンとは別に固定資産税がかかります。
国民健康保険料が上がります。
賃貸物件の修繕費は大家負担ですが、マイホームは自己負担です。
マイホームを購入すると、住宅ローン以外に費用がかかるのです。

それからもうひとつ。
お子様の成長と共に、生活費も上昇する。という事実。

年功序列賃金が崩壊した日本では、
勤続年数の長さと収入が比例しにくくなっててきています。

収入の増加は期待できませんが、生活費の負担はほぼ確実に増加していきます。
消費税も増税される予定ですしね。

今回は、「住宅ローン破綻の原因」というテーマのうち、自己資金を入れずに購入した事例を書きました。

次回は、自己資金を入れずに購入するもう一つのデメリットについてお話しします。

お楽しみに。

住宅ローンが払えない場合の解決法に関する記事もお役に立つと思いますのでご覧下さい。