2015年2月8日日曜日

住宅ローンが払えなくなる理由その2

今回は住宅ローンが払えなくなる理由その2です。

自己資金を入れずに購入する、もう一つのデメリットについ、お話を進めていきます。

まず、「購入した金額は永遠ではない」ということが重要です。
購入した車が年々査定が落ちてゆくように、購入した不動産も年々査定が落ちてゆきます。

正確に言うと、「購入した建物」の査定が年々落ちてゆくのです。
では実際にどのくらい価格が落ちるのか具体的に説明しましょう。


税法とは若干違いますが、木造の二階建ての建物は20~25年程度で建物査定がゼロ円になります。
新築時の建物評価が2000万である建物。20年で査定ゼロとすると、一年で下落する評価はいくらになりますか?
そう、年間100万円減価しますよね。

例えば、土地が1000万円、建物2000万円、借入れが3000万円、金利が2%で35年のローンを組んだとしましょう。
年間の返済額は約120万円です。

一見、建物の年間減価100万円以上に返済しているように見えますが、年間の返済額は元金部分と利息部分があります。
詳しい計算は省きますが、このケースで1年目の元金返済額合計は約60万円、利息支払い額合計も約60万円となります。

つまり、建物の価値は100万円落ちているのに、住宅ローンの残は60万円しか減らないということになります。
そのため、1年目で売却した場合、40万円の手持ち金を入れないと売却することができない。ということになります。

二年目には80万円、三年目には120万円、、、204回目の時点では500万円超の売却赤字となります。

もちろん、この計算は土地の値段が変わらない。という前提で行っておりますので、土地の価格が上昇しそうな、とても人気のあるエリアでしたら、建物減価分を土地の相場上昇でまかなえるかもしれません。

あなたが購入したい土地は、いかがでしょうか?

今回は分かりやすく、建物減価が一定金額で減少する前提で説明をしましたが、実際は新築物件と築1年の中古物件では上記以上の差が出ます。

また、中古住宅を購入した場合も、上記計算と基本同じです。

永住するつもりで住宅を購入しても、転勤や離婚、親の介護、生活環境の変化などの要因により、売却することになるかも知れません。

「手放そう」と思ったときに残債金額以下でしか売却できないと、売ることすらできずに困ってしまいますよね。
自己資金を入れて不動産を購入するということは、こういった「将来売却しなければいけない時のリスク」の回避にもなります。
逆に自己資金を入れずに購入するという事は、リスクを抱えての住宅購入になる。ということを忘れないでいただきたいと思います。

次回は、「意外とかかる住宅ローン以外のお金」というテーマでお話をしますね。

住宅ローンが払えない時の解決法という記事もお役に立つと思いますので、是非お読み下さい。

住宅ローンが払えなくなる理由その1

こんにちは、任意売却の専門家杉山善昭です。

私に寄せられるご相談は「家を売りたい!」というものが多いです。

しかも、私のところにご相談に来られる家を売りたい方は、
「本当は売りたくない人」がほとんど。
売りたくないけれど、売らざるを得ない。という方なのです。

さて、手放さざるを得ない方とは一体どのような状況なのか?
感の良い方はもうお気づきかもしれませんね。

そう、「住宅ローンが払えなくなってしまった方」です。

住宅ローン破綻というテーマで、これから何回かに分けて書いていきたいと思います。

実は、住宅ローンが払えなくなってしまう方には、ある共通の特徴があったのです。

今回は一回目ですから、最も多い事例を書きましょう。

住宅ローン破綻事例の中で最も多い原因は、
「自己資金を入れずに購入した」です。

ただし、注意しなければいけない点があります。
自己資金を入れずに購入したとしても、そこには二つの経緯があります。

まずは、「自己資金があるけれど使わなかった」です。

蓄えはあるけれど使わなかった方は、
何かの理由でその資産を温存しておきたかったわけです。
例えば、定期預金の満期が来るのを待っていたり、
途中解約すると利回りが悪くなる金融商品を持っているケース。
こういったケースの場合、蓄えを使う方が有利なのか、蓄えを使わない方が有利なのか?を検証して判断しています。

戦略的な自己資金不支出です。

こういった方はそもそも、資産形成をする経済的サイクルが確立されていますから、
毎月の収入-支出が常にプラスになっているわけです。

この場合、自己資金を使わずにマイホームを購入しても、危険は少ないです。

問題は二つ目。

「自己資金がなくて払えない」です。

確かに昨今、
銀行の住宅ローンは、100%融資や諸経費までまとめて融資する銀行があります。

しかしそれは、銀行がつくった金融商品にすぎません。
「融資を受けることができること」と、「返済ができること」はイコールではありません。

少々話がずれましたね。

自己資金がなくて払えない。原因はどこにあるでしょうか?

根本的な原因は
収入-支出=ゼロ
ということです。

過去、数十年の生活を続けていて資産がゼロということは、
今まで得た収入を丸ごと全部使ってしまった。ということになります。

このような方が、「家賃と同じ支払いなら…」という理由で購入してしまうと、
非常に危険です。

なぜなら、
マイホームを購入すると、住宅ローンとは別に固定資産税がかかります。
国民健康保険料が上がります。
賃貸物件の修繕費は大家負担ですが、マイホームは自己負担です。
マイホームを購入すると、住宅ローン以外に費用がかかるのです。

それからもうひとつ。
お子様の成長と共に、生活費も上昇する。という事実。

年功序列賃金が崩壊した日本では、
勤続年数の長さと収入が比例しにくくなっててきています。

収入の増加は期待できませんが、生活費の負担はほぼ確実に増加していきます。
消費税も増税される予定ですしね。

今回は、「住宅ローン破綻の原因」というテーマのうち、自己資金を入れずに購入した事例を書きました。

次回は、自己資金を入れずに購入するもう一つのデメリットについてお話しします。

お楽しみに。

住宅ローンが払えない場合の解決法に関する記事もお役に立つと思いますのでご覧下さい。